売上高経常利益率の目安


[売上高経常利益率とは?]

 

売上高経常利益率とは読んで字のごとく、売上高に対する経常利益の割合のことを指します。例えば、売上高が1,000万円、経常利益が50万円であれば、売上高経常利益率は5%となります。
計算式で確認すると、以下のようになります。

 

 

売上高経常利益率の計算式

 

売上高経常利益率=経常利益÷売上高

 

このような式で売上高経常利益率を求めることができます。経常利益とは事業の特別な損益を除いた利益のことであり、財務分析において重要な項目となります。ではなぜ経常利益単体ではなく、経常利益率を考えなければならないのでしょうか。

それは、売上高営業利益率を考える必要性と同じく、経常利益の大小だけでは事業の収益性を判断することができないからです。



 

たとえば、C社とD社という2つの会社があるとします。C社の経常利益は50万円、D社の経常利益が100万円だったとしましょう。経常利益だけで見れば、D社の方が大きな利益を稼いでいるという印象になりますね。しかし、ここで売上高も考慮に入れた場合、この評価が反転することがあるのです。

例えば、C社の売上高は1,000万円、D社の売上高は5,000万円だったとしましょう。すると、A社は小規模ながら効率よく利益を生み出しているという印象になり、評価が全く異なるものになることがお分かりいただけるかと思います。

 

実際に売上高経常利益率を計算してみると、C社=5%、B社2%となり、確かにA社の方が収益性が高いという事が確認できるのです。ここで、「高かったから当社は大丈夫だ」として財務分析を終わってしまっては意味がありません。具体的に、業界平均よりどれだけ高いのか、ここ数年で高くなっているのか低くなっているのか、利益率が高いならその原因はなんなのか、というような追加分析をしなければ全く意味をなさないのです。当然、利益率が低かった場合には早急な追加分析・課題抽出が必要となります。




 

[売上高経常利益率の目安]

売上高経常利益率の目安として1つ基準になるのは、業界平均値です。しかし、収益性指標の特徴ともいえますがこの平均値は業界によって大きく異なります。

 

ここで参考資料として、経済産業省の「商工業実態基本調査(平成29年度)」を確認してみましょう。この調査で明らかとなった業界ごとの売上高経常利益率の平均値は以下の通りです。

 

製造業:およそ8%

卸売業:およそ3%

小売業:およそ3%

飲食業:およそ4%

 

このように、ほとんどの業界企業では売上高営業利益率が10%を下回る状態となっています。特に、中小規模の企業では平均を下回るケースも多いです。

あくまでこの業界平均値のみから考えれば、売上高営業利益率の目標は5〜10%前後で計画することが良いといえると思います。一方、このような一律の売上高経常利益率の目標を掲げたとしても、それが有効に機能するとは考えにくいです。

 

つまり、売上高経常利益率は一律〇%というような数値目標が決まっているわけではなく、「業界平均値」や「自社の利益率の推移」などを総合的に考慮判断して目標を決定していく必要があるといえます。

 

一方で、このような経年比較や自社の財務状態の今後の見通しなどの判断には専門的な知識や分析が必要不可欠です。大雑把な目標を設定したというケースでは、多くの場合目標が陳腐化し無意味なものとなってしまいます。

このような財務分析や問題・課題の抽出などでお悩みの際は、ぜひ我々専門家にご依頼頂ければと思います。

 

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