労働生産性の目安と平均
[労働生産性とは?]
労働生産性とは、従業員1人当たりが生み出す付加価値の金額のことです。計算式で表すと、以下のようになります。
労働生産性=付加価値÷人数
このような式で労働生産性を求めることができます。このような生産性の指標は、近年特に注目されている指標でもあります。その理由は、大きく2つあります。
理由の1つ目は、企業間の比較がしやすいからです。
労働生産性は付加価値を人数で割った指標であるため、企業の規模による差異が生じづらい事に特徴があります。例えば、売上高経常利益率や売上高営業利益率であれば、企業の規模によって数値が大きく異なるという傾向が強いことが知られています。特に、大企業の利益率は高い傾向にあります。
一方、労働生産性はこのような差異が比較的小さいのです。企業の規模による違いの部分については、中小規模の企業の方が大企業に比べ労働生産性が高いというケースが非常によく見られます。労働生産性はあくまでも1人が生み出す価値の大きさの指標なので、このように規模を超えた企業間比較がしやすいのです。
理由の2つ目は、従業員の方にわかりやすい指標だからです。
労働生産性は1人当たりが生み出す価値の大きさなので、少なくとも自分が受け取る給料より高い金額を稼ぎ出す必要があります(でなければ、会社は赤字になってしまいます)。つまり、労働生産性の水準目標を会社として定める際、自分の賃金との比較によって金額の大小を判断しやすいのです。
このように、現場の方に理解してもらいやすいというのは、売上高経常利益率や営業利益率には見られない特徴だといえます。
[労働生産性の目安]
労働生産性の目安として1つ基準になるのは、業界平均値です。しかし、各種利益率と同様にこの平均値は業界によって大きく異なります。
ここで参考資料として、経済産業省の「商工業実態基本調査(平成29年度)」を確認してみましょう。この調査で明らかとなった業界ごとの労働生産性の平均値は以下の通りです。
・製造業:およそ1,200千円
・卸売業:およそ1,100千円
・小売業:およそ500万円
・飲食業:およそ240千円
このように業界ごとに平均値が非常に大きく異なることが窺えるかと思います。特に製造業の労働生産性は高く、飲食業の労働生産性の平均値のおよそ5倍に及ぶことが分かります。
したがって、労働生産性の目標値を決定する際は、自社と同業の平均値を確認した上で決定することが大切であるといえるでしょう。また当然ながら、他社比較のみならず、自社の労働生産性の経年変化を踏まえた上で目標値を考えていく必要があります。
一方で、このような経年比較や自社の財務状態の今後の見通しなどの判断には専門的な知識や分析が必要不可欠です。大雑把な目標を設定したというケースでは、多くの場合目標が陳腐化し無意味なものとなってしまいます。
このような財務分析や問題・課題の抽出などでお悩みの際は、ぜひ我々専門家にご依頼頂ければと思います。
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